障害者マークは、施設や設備が利用しやすい環境であることを示したり、目に見えづらい困りごとを周囲に伝えたりするための、とても大切なサインです。しかし、マークの意味を誤解してしまうと、当事者の方が不利益を被ってしまったり、企業側とのコミュニケーションにすれ違いが生じたりすることもあります。
この記事では、障害者枠の就職・転職をサポートするDIエージェントが、代表的な障害者マークの種類と意味、見かけたときの配慮のポイントや誤解されやすいルールについて分かりやすく解説します。
正しい知識を身につけることは、安心できる職場環境や社会づくりの第一歩です。ぜひ一緒に確認していきましょう!
障害者マークとは?基本の考え方
各種の障害者マークは、「支援を必要とする人の存在」や「誰もが利用しやすい環境が整っていること」を周囲へ視覚的に知らせます。大きく分けると以下の3つに分類されます。
- 施設・設備のバリアフリー対応を示すもの
- 本人や周囲の人の支援・配慮の必要性を伝えるもの
- 運転時の安全配慮を促すもの
大切なのは、障害者マークが示すのは「診断名」ではなく、「その場面でどんな配慮が必要か」というサインだということです。同じマークでも必要なサポートは人それぞれ異なります。「このマークがあるから、必ずこうしなければならない」と決めつけず、コミュニケーションのきっかけとして捉えることが、お互いの安心につながります。
施設や設備の利用しやすさを示す障害者マーク
国際シンボルマーク(車いすマーク)

国際シンボルマーク(車いすマーク)は、車いす利用者に限定せず、障害のある方全般が利用しやすい「バリアフリー環境」を明示します。 施設入口、エレベーター、多目的トイレなどでよく見かけますね。
- 示している意味
車いす利用者「専用」というわけではなく、障害のある方全般が利用しやすい環境(段差がない、通路が広いなど)であることを示しています。 - 配慮のポイント
マークがある場所では、必要な方がスムーズに使えるよう、動線を塞がないことが第一の配慮です。 - 注意点(よくある誤解)
個人の車にこのマークを貼っている場合、周囲への注意喚起にはなりますが、それ自体で「駐車禁止の免除」や「専用スペースの優先利用権」を証明する法的効力はありません。
盲人のための国際シンボルマーク

視覚障害のある方が安全に利用できるよう、音声案内や点字、触知できる表示などの配慮がされている建物や設備を示す世界共通のマークです。
- 掲示されやすい場所
信号機、音声案内装置、エレベーターの操作部、触知案内板など。 - 配慮のポイント
視覚障害は外見から分かりにくいことも多いです。点字ブロックの上に立ち止まったり、案内板の前を長時間塞いだりしないよう意識しましょう。
コミュニケーションの配慮を示す障害者マーク
耳マークや手話・筆談マークは、外見からは分かりにくい聴覚障害の存在や「コミュニケーション上の配慮の必要性」を周囲に伝達します。 これらのマークは、ご本人が配慮を求めるだけでなく、施設や企業側が「対応可能です」と示すサインとしても活躍します。
耳マーク

聞こえない・聞こえにくいこと、またはそうした方への配慮が必要であることを示します。 対応する際は、相手の視界に入ってから合図をし、口元を見せてゆっくり話す、筆談やスマートフォンのメモを活用するなど、情報が確実に届く工夫をしましょう。
手話マーク・筆談マーク


- 当事者が提示する場合
「手話(または筆談)で対応してほしい」という希望の表明です。 - 施設や窓口が掲示する場合
「手話(または筆談)での対応が可能です」というサービス提供の表示です。 必ずしも手話ができなくても、筆談や図示、要点メモなど、相手に合わせて柔軟に手段を組み合わせることが大切です。
運転時の安全配慮を促す障害者マーク(標識)
四つ葉や蝶のデザインを用いた標識は、運転手に一定の障害があることを示し、周囲のドライバーに対して「安全配慮と予測運転」を促します。
身体障害者標識(四つ葉のマーク)

肢体不自由を理由に運転免許に条件が付されている方が表示する標識です。
- ルールと配慮
表示は「努力義務」とされることが多いですが、このマークを付けた車に対しての幅寄せや無理な割り込みは禁止されています。車間距離を多めに取り、余裕のある運転を心がけましょう。
聴覚障害者標識(蝶のマーク)

一定の聴覚障害を理由に運転免許に条件が付されている方が表示する標識です。
- ルールと配慮
こちらは表示が「義務」となっています。クラクション等の音が聞こえにくい場合があるため、ウインカーを早めに出すなど、視覚的に予測しやすい運転で周囲がサポートすることが事故防止につながります。
見た目では分かりにくい事情を伝える障害者マーク
ハート・プラスマークやオストメイトマークなどは、内部障害や介護中といった「外見からは判別しにくい特別な事情」を周囲へ適切に知らせます。
ほじょ犬マーク

盲導犬・介助犬・聴導犬が「ペットではなく補助犬」として同伴することへの理解を促す啓発マークです。 身体障害者補助犬法により、民間施設でも原則として受け入れが義務付けられています。見かけた際は、犬の気を引いたり触ったりせず、静かに見守りましょう。
聴覚過敏マーク

このマークは、見た目では分かりにくい「聴覚(感覚)過敏」という特性と、それに伴う「イヤーマフ着用の理由」を周囲に伝える非常に重要なサインです。 このマークを見かけた際は、無理に外すよう促したりせず、コミュニケーションが必要な場面ではジェスチャーや筆談など、視覚的な方法で伝えていただけるとスムーズです。
オストメイトマーク

人工肛門・人工膀胱(オストメイト)の方のための専用設備(洗浄用の流しなど)があることを示します。 外見からは分かりにくいため、多目的トイレを利用していると誤解を受けることもあります。着替えや処理に時間がかかる場合もあるため、急かさず譲り合う気持ちが大切です。
ハート・プラスマーク

心臓や呼吸機能、腎臓など、身体内部に障害があることを示すマークです。外見からは障害や体調の辛さが気付きにくいため、優先席付近でこのマークを見かけた際は、席を譲ったり、通路のスペースを広く空けたりといった配慮を行うことで、当事者の大きな安心につながります。
白杖SOSシグナルのシンボルマーク

視覚障害のある方が「白杖を頭上(約50cm程度)に掲げて支援を求めているサイン」を広めるためのマークです。 駅のホームや交差点などでこの動作を見かけたら、「何かお手伝いしましょうか?」と正面から声をかけ、本人の希望を確認した上で安全に誘導しましょう。
企業の人事担当者様も、障害者マークが持つ意味を理解しておくことで、面接時の配慮や、入社後の合理的配慮の提供がよりスムーズになります。
マークは、お互いが歩み寄るための「コミュニケーションの架け橋」になります。
マークを通じた「思いやり」で、自分らしい働き方を

障害者マークの意味を正しく理解することは、当事者の方の安全と尊厳を守り、誰もが利用しやすい環境・職場をつくる第一歩です。
- 動線をふさがない・急かさない
- 必要なら「お手伝いしましょうか?」と声をかける
- 断られても、その意思を尊重する
日常のちょっとした行動の積み重ねが、大きな安心につながります。
「自分の障害特性を企業にどう伝えればいいか分からない」「社員が働きやすいように配慮の知識を深めたい」とお考えの求職者様や企業ご担当者様は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。
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大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。




