法定雇用率とは?障害者雇用率制度の仕組みと最新動向を総解説!

障害者雇用率制度は、事業主に対して障害者の雇用確保を義務付ける重要な仕組みです。この記事では、法定雇用率について基礎から最新動向までをわかりやすく解説します。障害者雇用促進法による定義や計算方法、企業に求められる対応を押さえ、今後の引き上げスケジュールに備えましょう。

障害者雇用率制度の基礎を押さえよう

障害者雇用率制度の基礎を押さえよう

まずは障害者雇用率制度の基本概念について確認しておきましょう。制度の根幹となる法律や歴史的背景を理解することで、今後の変化点も正しく捉えられます。

障害者雇用率制度は、一定以上の規模を持つ事業主に対して、障害者を必ず雇用するよう義務付けた制度です。企業が守るべき障害者雇用率は、社会情勢や障害者の就業機会拡大の必要性に応じて引き上げられてきました。これにより、障害のある人が職場で活躍しやすい環境を整え、企業の多様性や社会的責任を高める目的があります

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障害者雇用促進法における定義

障害者雇用促進法では、身体障害、知的障害、精神障害を有し、障害者手帳などの公的書類で証明がなされている労働者を対象としています。この法律は、障害がある人たちが円滑に就労できるように企業や社会が配慮・協力することを目的としています。さらに、合理的配慮を提供しなければならない点や、必要に応じて職場環境を改善する取り組みが求められています。

法定雇用率の歴史的背景と改定の経緯

法定雇用率は、障害者の雇用を社会全体で推進するために段階的に引き上げられてきました。過去には身体障害者を中心に定められていましたが、近年は精神障害者も対象に含むなど、対象範囲を拡張してきた経緯があります。また、企業の経営環境や障害者の働き方の多様化を反映し、公正かつ実効性のある仕組みに見直されながら改定が行われています。

最新の法定雇用率引き上げスケジュール

最新の法定雇用率引き上げスケジュール

今後数年間で段階的に引き上げが実施される予定です。スケジュールと企業に与える影響を把握し、計画的な採用戦略を立てることが重要となります。

法定雇用率は段階的に上昇しており、企業規模に応じて求められる障害者雇用数も増えていきます。達成が難しい企業にとっては、早めに採用体制を整えるだけでなく、職場定着に向けた環境整備がカギとなります。特に雇用率の上昇タイミングを意識し、採用計画を無理のない形で進めることが長期的な安定につながります

2024年・2025年の段階的変更ポイント

2024年から2025年にかけては、現在の2.5%へ雇用率が引き上げられ、段階的に高い水準を目指す方向となっています。特に民間企業では、従業員40人以上が義務化の対象ですが、この基準が少し引き下げられる可能性も指摘されています。自社が該当するかを早めに把握し、必要な採用数の確保や雇用環境の調整を進めておきましょう。

2026年7月の引き上げと企業が受ける影響

2026年7月には法定雇用率が2.7%に引き上げられる予定であり、従業員37.5人以上が義務化の対象となるため、一定規模以上の企業にとっては大きな転機となります。この時期までに必要な障害者雇用数を満たしていない企業には、納付金や行政指導などのリスクが高まります。反対に、早めに雇用率を達成すると、助成金や報奨金の支給を受けられるメリットも見込めます。

対象となる企業と適用範囲

対象となる企業と適用範囲

法定雇用率が適用される企業や公的機関、さらに従業員規模による義務の違いについて確認し、自社が該当するかを見極めましょう。

障害者雇用率は、まず民間企業が最も注目するポイントですが、公的機関や教育機関にも異なる設定値が示されています。一般的に従業員が40人以上いれば雇用義務が生じるため、事業拡大やグループ会社化によって対象となり得るケースも少なくありません。自社全体の雇用状況を正確に把握し、抜け漏れのない対策を行うことが第一歩です。

対象となる企業

障害者雇用率制度の対象となる主な企業は、常時40人以上を雇用している事業所を有する法人です。これには正社員だけでなく、契約社員やパートタイム労働者も含まれる場合があるため、雇用形態を整理して算定を行うことが重要です。さらに、業種によって適用除外や特例措置が設定されていることもあるため、自社に合った対応が必要となります。

民間企業・公的機関・教育機関の違い

民間企業の場合、法定雇用率は一律で適用されますが、公的機関や地方公共団体、教育機関などは独自の率が定められるケースもあります。特例として高い雇用率目標が設定される場合もあり、行政や公共機関にはより強い雇用責務が課されがちです。一方、教育機関では障害特性に応じた業務配置や支援が求められる場面が多く、先進的な取り組みが報告されています。

従業員規模別に見る雇用義務の有無

法定雇用率が適用されるかどうかは、全ての雇用形態を含めた常用雇用労働者数に基づきます。一般的には40人以上ですが、45.5人や37.5人など細かい区切りが法改正で変更されることもあります。将来的に規模要件が引き下げられる可能性があるため、対象が拡大する局面に備えて情報を常にアップデートしておくことが大切です

一部業種で認められる除外率の概要

一部の業種には、法定雇用率の算定から一部労働者を除外できる制度があります。活用ポイントや注意点を押さえましょう。

除外率制度は、危険作業や身体的負担の大きい業種など、障害者が就労しづらい環境で一定の調整を行うために設けられた仕組みです。除外率の対象となる業種は、重量物を扱う製造業や危険業務を担う建設業など、障害者が就労するうえで負荷の高い作業を伴う場合が代表的です。これらの業種では、法定雇用率をそのまま適用するのが難しいため、一定の割合を緩和することが認められています。ただし、事業主は除外率を理由に障害者雇用をおろそかにしない姿勢を示すことも重要となります。

雇用率算出の対象となる障害者の範囲

雇用率算出の対象となる障害者の範囲

実際に法定雇用率を達成するには、どのような障害者が雇用率算出の対象になるのか正確に把握しておく必要があります。

対象となる障害者の範囲や手帳の種類を正しく理解することは、雇用数を正確に算出するうえで不可欠です。特に精神障害は見えにくいケースがあり、雇用後に手帳の申請を行う人もいます。企業としては手帳の確認だけでなく、個々の支援ニーズに合わせた環境整備にも力を入れることが望まれます。

対象となる障害者

基本的には身体障害者、知的障害者、精神障害者の三種類の障害者手帳保有者が法定雇用率に計上されます。精神障害者の場合は比較的近年に対象化された経緯があり、企業が対応方法を模索している場面も多いです。障害者個々の多様な働き方を尊重しながら、業務内容や配置を工夫することがポイントになります。

身体障害・知的障害・精神障害の分類

身体障害は、視覚や聴覚、肢体など身体機能にかかわる障害を指し、知的障害は知的機能の発達に遅れがある場合を対象とします。精神障害は統合失調症や双極性障害など、主に精神面での継続的な支援が必要な状態を示すものです。これらの障害区分の違いを理解することで、個々に合わせたサポートや職務設定がしやすくなります。

障害者手帳等の確認と雇用率算定のルール

企業は雇用率を算定するうえで、就業する従業員が障害者手帳を所持しているかを確認しなければなりません。手帳の種類によっては法定雇用率へ加重計算が認められるケースもあるため、正確に手続きや書類確認を行うことが大切です。プライバシーに十分配慮しながら、必要な情報だけを適切に取り扱うのが企業の責務です

障害者雇用率の計算方法

障害者雇用率の計算方法

実雇用率を算出する際には、常用雇用労働者数の取り扱いや短時間労働者のカウント方法など、詳細なルールを理解しておきましょう。

障害者雇用率は「障害者としてカウントされる従業員数 ÷ 常用雇用労働者数 × 100」で求められますが、短時間労働者の扱いや重度障害者のダブルカウントなどの特例があります。グループ会社全体でまとめて計算する合算方式も認められており、自社に合った最適な方法を選ぶ必要があります。計算方法を誤ると納付金の過不足や行政指導の対象となるため、注意が必要です。

常用雇用労働者と短時間労働者の取り扱い

週20時間以上の労働者は「常用」としてカウントされるため、障害者雇用率の計算に含める必要があります。また、2024年4月(令和6年4月)より、週10時間以上20時間未満の労働者についても、特定の障害を持つ方に限り、特例的に0.5人として算定対象に含めることができるようになりました。短時間労働者を積極的に受け入れる場合は、その特例を活用できるかを検討すると良いでしょう。

労働時間カウント方法備考
週30時間以上1人としてカウント(常用労働者)
週20時間以上30時間未満0.5人としてカウント(短時間労働者)
週10時間以上20時間未満0.5人としてカウント(特定短時間労働者精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者を雇用する場合に、特例的な算定が可能
週10時間未満原則として雇用率の計算対象外

複数事業所・グループ会社の場合はどうする?

企業グループ全体で算定できる特例が存在し、単独事業所では難しい雇用数をグループ内で補うことも可能です。これは大企業だけでなく、中小企業の協同組合などにも適用される場合があり、合理的配慮や勤務形態を共有し合うメリットがあります。ただし、計上方法には一定の要件が定められているため、事前にハローワークなどで確認しましょう。

法定雇用率を下回った場合のペナルティ

法定雇用率を下回った場合のペナルティ

目標の障害者雇用率を未達の場合、企業には経済的負担や行政上のリスクが発生する可能性があります。ペナルティの仕組みを理解し、余裕を持って対策を講じましょう。

障害者雇用率が法定基準を満たさない場合、主に納付金行政指導公表リスクなどのペナルティが課されることになります。納付金は雇用者数に応じて月単位で計算され、企業の財務負担となります。さらに行政指導に従わない場合は企業名が公表され、社会的信用にも影響するため、早期の取り組みが求められます。

障害者雇用納付金の仕組み

障害者雇用納付金制度は、法定雇用率を下回った企業から納付金を徴収し、達成した企業には調整金などを支給する仕組みとなっています。これにより、障害者を積極的に雇用している企業を経済的に支援し、そうでない企業に対しては改善を促す役割を果たします。納付金は企業の財政状況を圧迫する可能性があるため、早めに必要数を確保することが重要です。

行政指導と企業名公表のリスク

法定雇用率を大幅に下回る企業には、ハローワークなどからの指導が行われ、計画書の提出や定期的な報告が求められます。改善が見られない場合や説明が不十分な場合には、社会的責任を促すために企業名公表の手続きに移行する場合があります。企業名公表は外部からの批判やレピュテーションリスクにつながるため、早期に対策を講じることが得策です。

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法定雇用率を超えた取り組みの意義

法定雇用率を超えた取り組みの意義

法定雇用率は今後段階的な引き上げが予定されています。障害者雇用の重要性を認識し、企業全体で取り組む姿勢が求められます。

障害者雇用率の引き上げをはじめとする制度改定によって、多くの企業が採用や職場環境を見直すきっかけを得ています。今後は、障害者雇用を単なる義務として捉えるのではなく、企業理念や社会的責任を体現する取り組みとして位置付けることが求められるでしょう。多様性を受け入れ、個々の能力を引き出す組織文化を育むことで、企業にとっても大きな成長機会になるはずです。

監修:東郷 佑紀
大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。