気分変調症とは、持続性抑うつ障害とも呼ばれる、精神的な障害の一種。生活を送る上で、なんらかの支障を抱えることもある障害です。障害の度合いによっては、日常生活に限らず仕事においても困難が生じる場合があります。
そこで今回は、気分変調症が仕事に与える影響や求職活動で役立つサービス、おすすめの求人について紹介します。
障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。
そうならないように、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただければ幸いです。
気分変調症とは?

気分変調症は、持続性抑うつ障害とも呼ばれる精神疾患の一種です。この障害は、うつ病と同様の認知的問題や身体症状を引き起こします。症状はうつ病よりも軽度である一方で、より長期間持続するのが特徴です。
世界的な統計によると、男性よりも女性の発症がやや高い傾向にあるようです。また、比較的若年で発症することが多く、特に21歳以前に診断されるケースでは、再発や精神科入院、併発症のリスクが高くなる傾向があると言われています。
気分変調症の主な症状
気分変調症の主な症状には、長期間にわたる抑うつ気分が挙げられます。これに加えて、以下のような症状が現れることもあるようです。
- 不眠または過眠
- 食欲の増加または減少
- 疲労感または低活動性
- 自尊心・自信の低下
- 悲観的・絶望感
- 集中力の低下や決断の困難さ
こういった症状のうち2つ以上が当てはまり、さらに2年以上持続する場合に、気分変調症と診断されます。
症状が比較的軽度であるため、日常生活は何とか送れる程度であることが多く、本人も周囲も病気だと気づきにくいのも特徴です。
うつ病との違い
気分変調症とうつ病の主な違いは、症状の強さと持続期間にあります。気分変調症は、うつ病と比較すると症状が軽度ですが、より長期間持続します。うつ病の診断には症状が2週間以上続くことが条件ですが、気分変調症の場合は2年以上、症状が持続することが診断の基です。
また、気分変調症の患者は常に落ち込んでいると訴えることが多く、主観的な徴候が目立つのに対し、うつ病では客観的な症状がより顕著に現れるという違いもあります。
気分障害との違い
気分障害は、うつ病と躁病という2つの感情的な障害を包括する分類であり、気分変調症はこの分類の中に含まれる具体的な障害の一つです。ただし、最新の診断基準では、うつ病と双極性障害は別の分類となり、気分障害という項目自体がなくなったようです。
なお、気分障害という用語は、必要に応じて依然として使用されています。気分変調症は、新しい分類システムの中でも、独立した診断カテゴリーとして扱われています。
気分変調症は、うつ病や双極性障害とは異なる特徴を持つ慢性的な抑うつ状態を指す具体的な診断名であり、気分障害は広範な分類で診断名ではないことを覚えておきましょう。
気分変調症の方が仕事で抱えがちな悩み

前章のような症状が起きる気分変調症の方は、仕事でどんな悩みを持ちやすいのでしょうか。
1. 疲れやすく集中しにくい
特にうつ病の場合、「易疲労性(いひろうせい)」といって、通常よりも疲れやすい状態になっています。
抑うつのときはそもそも行動意欲が下がっており、何事に対してもモチベーションが上がらない状態のため、より疲労感や苦痛を感じてしまい、仕事にも集中しにくいでしょう。
2. 調子の浮き沈みがありパフォーマンスが不安定
気分変調症では気持ちの浮き沈みが激しく、好調なときはたとえば徹夜のような仕事でも元気で活発に行えても、不調のときは身動きすることすらつらいということがあります。そのため、気分の変化の影響により、仕事のパフォーマンスが安定しません。
突発的に不安や恐怖などの感情に見舞われることもあるため、スケジュール通りに仕事ができなくなる事態も起こりえます。
3.自信を喪失して些細なミスで自分を責めがち
気分変調症には、自尊心の低下を引き起こしやすいという特性があります。そのため、仕事中の些細な失敗やミスでも、自分を厳しく責めてしまう傾向が高いです。
否定的な自己評価は、さらなるストレスの蓄積や仕事への意欲低下につながりやすいです。例えば、ちょっとした入力ミスや提出物の遅れなど、通常なら軽微な問題でも、自分の無能さの証拠だと捉えてしまいます。そして「自分はダメな人間だ」「こんなミスをする自分には価値がない」といった極端な思考に陥りがちです。
4.コミュニケーションが困難
同僚との人間関係の中で些細なことに過敏に反応してしまうなど、対人関係に影響が出やすい傾向もあります。特に、チームワークが重要な仕事環境では、この問題がパフォーマンスに大きな影響を及ぼしてしまうかもしれません。
例えば、同僚の何気ない一言を否定的に解釈してしまい、不必要に傷ついたり、怒りを感じたりすることがあります。また、自分の意見や感情を適切に表現することが難しくなり、誤解を招いたり、必要な情報の共有が滞ったりすることもあります。
さらに、気分の波や集中力の低下により、会議やプレゼンテーションなどの場面で十分なパフォーマンスを発揮できないことも。こういった問題は、チームの生産性や職場の雰囲気にも悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。
気分変調症の方の仕事探しのポイント

つづいて、前述のような悩みを抱えがちな気分変調症の方が働きやすい職場を見つけるときに、ぜひチェックしたい点を紹介します。
柔軟な勤務形態がある
まず、勤務形態を自分の体調に合わせて調整できるかです。短時間勤務・フレックス制・テレワークなどの働き方ができたり、必要に応じて休職制度を利用できたりすると良いでしょう。
繁閑の差・残業・出張・転勤が少ない
次に、仕事のリズムについてです。気分変調症は、生活リズムが乱れると症状が悪化しやすい・再発しやすいとされます。
繁忙期と閑散期で忙しさの差が激しかったり、残業・出張・転勤などで不規則になったりすると負担がかかりやすいため、規則的に働ける職場が適しているでしょう。
気分変調症の方が仕事を続けやすくするためには

ここからは、気分変調症の方が一度就いた職場で長く働き続けるためのポイントを押さえましょう。
1. 職場の人からの理解や協力を得る
職場の人に気分変調症であることを伝え、自分にとって必要な合理的配慮を得ることは非常に重要です。自分の体調への理解を深めてもらうために日頃から相談する・業務を調整してもらう・必要に応じてフォローしてもらうなど、仕事を続けやすい環境を整えてもらいましょう。
2. 適切な休養をとる
仕事中に適度な休憩をとる・休日は趣味に没頭してリフレッシュするなどして、しっかり休むことも大事です。また、症状が思わしくない・どうしてもつらいときは、必要に応じて有給休暇や休職制度を利用し、体と心を休めながら働きましょう。
3. スケジュールに余裕をもらう
気分変調症では、どんなタイミングで不調の波がやってくるかわかりません。そのため、なるべく仕事に穴を空けないためにも、担当する仕事のスケジュールには余裕を持たせてもらうことも大切です。
4.医師や専門家に相談する
気分変調症の方が仕事探しを行う際、担当医や就労支援の専門家に相談することも重要です。
担当医は、患者の症状や治療の経過を最もよく理解しているため、就労に関する医学的な助言を提供できるでしょう。例えば、現在の症状管理の状況や、仕事のストレスが症状に与える影響などについて、専門的な見解を得ることができます。
また、就労支援機関などの専門家は、気分変調症の方の就労に関する豊富な知識と経験を持っています。適切な職種の選択や職場での配慮事項、就労時の自己管理方法などについて、具体的かつ実践的なアドバイスをしてもらえるでしょう。
さらに、障害者雇用制度や利用可能な支援サービスについての最新情報も得られるため、より効果的な就職活動が可能です。
気分変調症の方が就職・転職時に利用できるサービス

気分変調症をお持ちの方が就職・転職するには、求職活動をサポートしてくれる、公的または民間のサービスを活用するのがおすすめです。どんなサービスがあるのかを見ていきましょう。
ハローワーク
ハローワークとは、全国に存在する「公共職業安定所」のこと。施設内に設置されている検索機で、全国の求人情報を調べることが可能です。
ハローワークには専門の相談員を配置した窓口が設けられており、障害をお持ちの方の就職活動支援も実施しています。
一般枠の求人から障害者枠の求人まで、求職者の状況と企業の募集内容を照らし合わせながら相談に乗り、障害をお持ちの方向けに就職面接会を行ったり、面接に同行したりといったサポート体制を整えていることが特徴です。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターとは、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)」が運営しており、障害者の方に専門の職業リハビリテーションを実施する施設です。各都道府県に、最低1カ所以上設置することが義務付けられています。
センターでは、直接就職先を案内するという支援は行っていません。しかし、ハローワークと連携し、職業相談を受け付けたり、職種・労働条件・雇用状況などの求人情報を提供したりといったサポートを行っています。
障害者職業カウンセラー・相談支援専門員・ジョブコーチなどが配置されており、専門性の高い支援を受けられることが特徴です。
引用元
障害者雇用関係のご質問と回答|高齢・障害・求職者雇用支援機構
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所とは、一般企業への就職を目指す障害者の方に向けて、訓練や就職活動の支援を行うことで就労をサポートする通所型の障害福祉サービス施設です。「障害者総合支援法」という法律のもとで運営されています。
利用者は、事業所に通いながら就労に必要な知識や技術を身につけ、職場見学や実習などを行い、事業所職員のサポートを受けながら仕事を探せることがメリットです。
全国に3,300カ所以上存在しており、利用するためには市区町村で手続きをする必要があります。就職後の定着まで支援してくれる事業所もあり、安心して頼れるでしょう。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、障害者の方の職業における自立を図るため、雇用や福祉などの関係機関と連携し、地域で仕事面と生活面での一体的な支援を行う施設です。名称が長いため、間の「・」から「なかぽつ」「就ぽつ」などとも呼ばれます。
なかぽつは、令和6年4月1日時点で全国に337カ所設置されています。NPO法人や社会福祉法人などが運営しており、厚生労働省のページにある一覧から、お近くにあるセンターを探すことが可能です。
障害をお持ちの方への就労支援のほか、事業所に対する障害者雇用への助言や、関係機関との連絡調整などを行っています。
引用元
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省
令和6年度障害者就業・生活支援センター 一覧 (計 337センター)|厚生労働省
障害者雇用に強い転職エージェント
障害者雇用枠を持ち、積極的に障害者採用を行う企業の求人に特化した、転職エージェントを利用するのもおすすめです。
障害者の方の求職活動における独自のノウハウを持っており、高い専門知識も兼ね備えているので、初めての転職で不安を抱える方も心強いでしょう。そのエージェントでしか取り扱っていないような、非公開の求人情報を得られる場合もあります。
高い専門知識を持った専任のアドバイザーが、求職者の希望や障害の度合いなどをふまえた上で企業とのマッチングを行ってくれるのが特徴です。
就職前の準備から就職後の支援までトータルでサポートしてもらえるため、自分の特性にマッチした仕事が見つかりやすいでしょう。
気分変調症の方に向いている仕事とは?

ここまでの内容からもわかるように、気分変調症では、タイトなスケジュールの仕事はうまく遂行できない可能性があり、接客など積極的な人とのコミュニケーションが必要な仕事では、対人関係などで悩みが生じて症状が悪化する恐れがあります。
そこで、以下のような仕事がおすすめです。
- データ入力や単純作業ででき、対人の機会が少ない事務職
- マニュアルに沿って行える仕分け・検品・梱包などの軽作業
- 自分のペースでできるテレワーク など
気分変調症の方におすすめの求人4選
ここからは、気分変調症の方におすすめの求人を4つ紹介します。これらの求人は、うつ病や双極性障害などの精神障害に対する理解があり、働きやすい環境を提供している企業のものです。
各求人の特徴や勤務条件を確認し、自分に合った仕事を見つけるための参考にしてください。
株式会社タムロン|事務補助

株式会社タムロンでは、事務補助の求人を提供しています。この企業はうつ病・双極性障害の採用実績があり、精神障害に対する理解があると言えるでしょう。
業務内容は主に一般的な事務作業で、比較的ストレスの少ない環境で働くことができます。また、勤務時間や休憩時間などは個人の状況に応じて柔軟に対応してもらえる可能性があります。
株式会社タムロンの障害者求人(ID:5331)|求人サイト・BABナビ(バブナビ)
NHN テコラス株式会社|管理本部事務スタッフ

NHN テコラス株式会社は、管理本部事務スタッフの求人を提供しています。うつ病の採用実績があり、精神障害に対する理解がある企業です。
業務内容は、主に管理本部での事務作業で、安定した環境で働くことができます。IT企業ならではの先進的な職場環境や、柔軟な勤務体制が期待できるかもしれません。気分変調症の方にとって、自分のペースで仕事に取り組める環境が整っている点が魅力的です。
NHN テコラス株式会社の障害者求人(ID:8301)|求人サイト・BABナビ(バブナビ)
株式会社イーピービズ |オフィスサポート・カフェ補助・リラクゼーション受付

株式会社イーピービズでは、本社または店舗での勤務で、オフィスサポート・カフェ補助・リラクゼーション受付などの求人を提供しています。うつ病・双極性障害をはじめ、さまざまな障害の採用実績があります。
多様な職種から選択できるため、自分の興味や適性に合った仕事を見つけやすいでしょう。特にカフェ補助やリラクゼーション受付は、人と接する機会が多い仕事ですが、気分転換になる可能性もあります。気分変調症の方の状態に応じて、適切な職種を選択できる点が魅力です。
株式会社イーピービズ 本社または筑土テラスCafe&Barの障害者求人(ID:8084)|求人サイト・BABナビ(バブナビ)
公益財団法人がん研究会|一般補助員

公益財団法人がん研究会では、看護助手補助業務や事務補助業務など、一般補助員の求人を提供しています。うつ病・双極性障害をはじめさまざまな障害の採用実績があります。
医療機関での勤務となるため、安定した環境で働くことができます。また、社会貢献度の高い仕事に携わることで、自己肯定感を高められる可能性もあります。やりがいを感じつつ、安定して働ける環境が整っている点が魅力的です。
公益財団法人がん研究会の求人(ID:8092)|求人サイトBABナビ(バブナビ)
気分変調症の方も自分に合った仕事がきっと見つかる!

気分変調症では、疲れやすい・パフォーマンスが安定しないなど、仕事における困難を抱えがちです。
「自分はもう働けないんじゃないか」と悩む方もいるかもしれませんが、良い職場環境に恵まれれば安心して働けるはず。就労をサポートしてくれるサービスもあるので、プロの力を借りながら探してみてはいかがでしょうか。
障害を抱えながら働く上では、 障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。
今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。
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大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。







